順天堂大学脳神経内科

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変性疾患部門(パーキンソン病)

 
パーキンソン病とは
脳の中の「黒質」とよばれる場所の細胞が少なくなり、「ドパミン」という物質が少なくなる病気です。
ドパミンが少なくなった結果、症状として「振戦(ふるえ)」、「固縮(体がかたくなる)」、「無動・寡動(動作が遅くなる)」、「姿勢反射障害(バランスが悪くなる)」といった4大症状を主とする症状がでてきます。具体的には、手がふるえたり、歩行時にはすくんでしまったり、歩幅が狭くなったりして転びやすくなります。また、表情が乏しくなったり、文字を書くとだんだん小さくなったりしてしまうなどもパーキンソン病の特徴です。

【そのほかのパーキンソン病の症状】
関節痛・筋痛、疲労感、脱力、こわばり感、起立性低血圧、よだれ、嚥下障害、便秘、頻尿、発汗、手足冷感、うつ、不安、精神症状、睡眠障害、首下がり、腰曲がりなど4大症状以外にも種々の症状がみられます。


パーキンソン病の原因
原因はまだ不明です。中には遺伝性のものもあります。遺伝性に発症する方は約10%といわれています。



パーキンソン病は進行するのか
パーキンソン病は進行性の病気です。ただし、その進行は個人差があります。また、現在のところ進行を止めることができる治療法はありませんが、適切な治療によって生活の質(QOL)を保ったまま天寿を全うすることができます。


パーキンソン病の治療には何があるのか
薬物療法
パーキンソン病の治療の主体は薬物療法で、現在のところ最も有効です。現在までに多くの種類のお薬が開発されていて、うまく利用することで症状の多くは改善します。

パーキンソン病治療薬の種類
種類 作用機序 商品名
L-dopa製剤
ドパミンを補充
メネシット、マドパー、ネオドパストン、イーシードパール、ネオドパゾール
ドパミンアゴニスト
ドパミン受容体を刺激
ビ・シフロール、レキップ、ドミン、パーロデル、ペルマックス、カバサール
MAO阻害剤
ドパミンの分解を阻害
エフピー
COMT阻害剤
ドパミンの分解を阻害
コムタン
抗コリン薬
相対的に過剰なアセチルコリンをブロックします
アーテン、アキネトン
ノルアドレナリン作動薬
ノルアドレナリン受容体を刺激
ドプス
ドパミン放出促進剤
ドパミンの放出を促進
シンメトレル

【薬物療法の限界】
パーキンソン病の治療薬の中心であるL-dopa製剤は、長く服用していると効果が不安定となり、ウェアリングオフ(お薬がすぐ切れる)、ジスキネジア(体がくねくね動いてしまう)などの副作用が出現してくるために、お薬の調整が難しくなってくることがあります。そのため、若い方(日本神経学会のガイドラインでは70歳以下)ではドパミンアゴニスト等から開始しL-dopa製剤はできるだけ症状が進行してから使用することが一般的です。



パーキンソン病の外科治療
お薬がよく効くにもかかわらず、ウェアリングオフやジスキネジアがでてしまって困っている方や、お薬の副作用が強くでてしまいお薬が十分に増やせない方には手術療法が有効なことがあります。パーキンソン病の外科治療には、「破壊術」と「刺激術」がありますが、現在ではより侵襲が少なく、可逆的(刺激を中止することができるという意味で)である刺激術(脳深部刺激術 Deep Brain Stimulation: DBS)が主流となっています。
STN-DBSについての詳細


これからのパーキンソン病治療
薬物治療や、外科治療のほかに、移植療法や、遺伝子治療、細胞療法、細胞保護療法などが研究されていますが、まだ、安全性や有効性については十分な検討が必要な段階です。また、薬物療法でもいろいろなタイプのお薬の研究が現在も進んでいます。



 
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