順天堂大学脳神経内科

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外来特殊検査(腰椎穿刺

 
腰椎穿刺前の基礎知識
脳は柔い組織のため頭蓋骨・脊椎骨という頑丈な骨の中に包まれ豆腐のように水の中(髄液)に浮いています。髄液は弱アルカリ性の無色透明の液体で脳の中で脳室・脳槽・脊髄腔という場所に存在しており、脳の水分の含有量を緩衝し脳の形を保つのにも役立っています。髄液は髄膜(脳・脊髄を保護しており外側から硬膜・クモ膜・軟膜という3層構造をとっている)の中ではくも膜と軟膜の間に包まれて常時150 mlほど存在しています。髄液は脳室の脈絡叢(choroid plexus)にある クモ膜顆粒(arachnoid granule)から産生され、クモ膜顆粒や毛細血管、リンパから静脈系に吸収されます。その産生量は500 ml(0.35 ml/min)であることから一日約3回も入れ替わっています。全身に起こった病気の変化は時に髄液にまで影響を及ぼしますが、髄液の変化の多くは脳や脊髄に何らかの異常が起こったことを反映します。脳神経内科に受診される症状の多くは頭痛・嘔気・嘔吐・痙攣・認知症・意識障害・てんかんなどですが、CT, MRIなどの検査で明らかに異常が無い場合でも髄液の色調の変化や、圧の変化によって診断の手助けになることがよくあります。また微細成分を顕微鏡で見て、測定することで特に脳の中での炎症や変性、腫瘍を診断することができるようになりました。


髄液検査はいつ行うか?
原因不明の認知症、意識が悪い場合や痙攣が止まらない場合、頭痛・嘔吐・発熱など神経に異常がありそうな状態が続く場合などには直ちに行います。

どこで行うのか?
本院では救急外来、一般外来の処置室、入院後の病棟で行います。

どのように行うのか?
医師はまず脳圧が異常に上がっていないことを確認するために眼底鏡でうっ血乳頭(目の中をみて視神経が腫れていること)が無いこと、もしくは頭部CTで脳が腫れていないこと確認したうえで腰椎穿刺を行います。腰椎穿刺を行う際には、患者さんはベッドで横向きになっていただき背中をできる限り丸めて膝を抱えて寝てもらいます(エビのような姿勢になっていただきます)。腰まわりを清潔になるようによく消毒したあと局所麻酔を行います。背中の第3-4腰椎の間を目標として骨と骨の間に穿刺針を刺します。同時に採血を行い、髄液の結果と比較判定します。通常針を刺してから髄液を採取するまでは15分程度で終了する検査です。また、終了後は念のため1-2時間ベッドで安静にしていただきます。また血友病やアスピリン、プラビックスなどの抗血小板剤、ワーファリンを飲んでいる人は針を刺したところから出血する危険があるので、あらかじめ問診票に記入していただきます。検査を行った日にシャワー使用はかまいません。

検査結果の判定
圧の測定 針が入ったらすぐに延長チューブをつけて定規を使って測定します。圧が高いときには、髄膜の炎症や脳の中の占拠性病巣(できもの)、脳の髄液の吸収不良が疑われます。圧が低ければ脱水や髄液がどこからか漏れている病気(低髄液圧症候群)を疑います。

クエッケンシュテット試験 (Queckenstedt test)
頭蓋内の静脈とクモ膜下腔、それに脊柱管内のクモ膜下腔が正常に交通しているかどうかをみる試験です。頚静脈を両側同時に圧迫すると、正常では10秒以内に圧が100 mmH2O 以上上がります。そして圧迫をやめたときにはなめらかに元の圧に戻ります。この現象は、頚静脈の圧迫によって頭蓋内の静脈が怒張するので、頭蓋内圧が上がるためです。頭蓋内の静脈や脊柱管の途中に閉塞があると、圧があまり上 がらなかったり、圧迫をやめてもなかなか元の圧に戻らなかったりします(クエッケンシュテット現象陽性)。初圧が高いときには脳圧亢進を避けるために通常は行いません。


外観観察
色や透明度、浮遊物の有無を調べます。正常の場合髄液は無色透明ですが、髄膜炎では白っぽく濁ったり(白血球の増加)、黄色くなったり(蛋白の上昇)、赤い場合は出血が疑われます。場合によっては遠心を行い上澄みの色を観察します。その後は顕微鏡を利用して中に存在している細胞(赤血球、白血球)を見ます。ブドウ糖や蛋白質、アルブミン、IgGなどのグロブリンの測定を行います。また菌の培養や特殊染色で感染因子の調査も行います。最近は分子生物学的な検査でより正確な診断を早期に行うことができることがあります。

異常な場合に疑われる病気
くも膜下出血(脊髄からも含め)、脳や脊髄の損傷、髄膜炎、脳炎、脳腫瘍、がんの脳や脊髄への転移

合併症後遺症について
多くの場合は検査による合併症はありません。しかし時に下記の症状や合併症が起こる可能性があります。髄液穿刺の際に静脈などの血管に針が当たってしまい、髄液にそこからの血液が混入することがあります。診断に影響が避けられない場合は高さを変えて再刺入するか、他の日に再び行うことがあります。血友病や抗血小板剤、抗凝固剤を投与されている患者では易出血傾向から脊髄硬膜外血腫や髄液を多く、さらに取りすぎた場合には脳硬膜下血腫の危険があります。

腰椎穿刺後頭痛
腰椎穿刺後頭痛の特徴は臥位で改善し立位で悪化することです。原因としては髄膜や神経、静脈が髄液を採取することで下方に牽引され非拍動性(ズキズキしない)の鈍い痛みとなります。頻度としては6-40%と報告によりまちまちです。約90%は穿刺72時間以内に起こります。頭から首・肩にかけて焼けたような痛みの放散、もしくは引っ張られるように痛みがあると感じることが多いのですが、18-40歳の若年、やせ気味の頭痛持ちの女性に起こりやすくことが統計上わかっています。

症状が強い場合、微熱、頭痛、嘔吐、時には髄膜刺激症状との判断に迷うときもあります。通常は安静のみで2-3日、1週間以内に7割の患者は症状が改善します。予防としてリスクが高い患者に対しては22 ゲージより細い針を使用し(24-27 ゲージ)、穿刺針が脊髄腔へ到達後はできる限り針先を回転させない、針を抜くときに内筒を入れてから抜くという頭痛が起きにくい基本的な手技を正確に行うように心がけています。また、髄液の総採取量、穿刺回数、施行医師の経験の有無と腰椎穿刺後頭痛の発生に因果関係はないとされています。患者の穿刺姿位や穿刺後安静も各施設で伝統的に行われていますが実は影響がないといわれています。しかしながら、念のため当院外来では穿刺後1-2時間の安静を保っていただいて安全を期しています。

 
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